○自然災害よりまちを守るための契機
地震によって大災害を受けるのは産業革命以後のことかも知れない。産業革命で密集した大都市ができたので安全が重要になった。関東地震では死者14万人が火災で死んだ。自然災害で死者を増やさないためには、まずは耐火構造にすること。つぎに耐震構造にすること。現在までの地震の経験を踏まえて、耐火耐震の重要性が認識され、建築基準法など法制による強化が図られてきた。しかし、まちは年とともに変化し、輻湊化しているので、これらの対策は過去のものとして新たな災害を迎える傾向にある。
○阪神大震災のスライド
阪神大震災は断層によって起こった。地面が切れたときの下方を下盤、上方を上盤というが上盤で被害が大きい。またこのビルは途中階が破壊されている、今まで日本では途中階が壊れるほどの大地震はあまりなかった。液状化で基礎から転倒したビルなどもある。これが東京だったらもっとたいへんなことになっている。
独立法人防災科学技術研究所では実際の地震から得られたデータをプロトタイプとして3次元入力の出来る大型震動台で実験した模様をホームページで公開している。→http://www.bosai.go.jp/ 実験の映像をみてみると補強によって破壊までの時間が長くなっているのがわかる。
○地震対策
建物倒壊危険度図がインターネットでも公開されている。姉歯事件ではコスト削減のために偽装したと言われているが、建築費のうち構造体にかかる割合は20%程度なので、あと10%上げると特級の構造になる。コスト削減とすれば不思議だ。
しかし、地震のことはよくわかっていないことが多いので、不明な部分の安全率を上げることで対処するしかない。建築基準法は最低限の基準を定めているので法を守ったから安全というわけではない。
大地震でも崩壊しない構造にするのに、免震構造、制震構造などが考えられている。
○会場から
・関東地方の地盤構造がお椀にお豆腐を入れたようになっていると言われている。高層ビルが壊れるという話があるが。
→(関東平野の地盤の性質としてやや長周期成分(7〜8秒)を持っているので、これに近い固有周期を持つ超高層ビルでビルが共振しで)変形が大きくなって壊れる可能性がある。これを抑える、ダンパーの入れてないものは悩ましい
・ダンパーってどういうものですか。
→自動車で言えばバネとダンパーで振動を吸収している。ダンパーは変形しながらエネルギーを吸収する。建物で言えば、壁が壊れることで振動を吸収する。以前は本体を傷めて吸収していたが最近の技術ではあらかじめエネルギーを吸収する部材を設けている。エネルギーの吸収とはエネルギーを熱に変えることである。
・構造にかかるお金は少ないというが住宅ではどこにかけたらよいか。
→(もともと木造住戸は)水平力を壁で支えているので壁を作ればよいが空間を制限される。弱いところに変形がおこるので弱いところを無くせば良い。
・阪神大震災はどうだったか。
→すぐに見に行ったが、倒壊した建物はすぐに解体処分されていて見られないものも多かった。外国では壊れたものを残して研究できたが日本ではすぐに消してしまう。
・日本で問題なのは評価機関が構造計算の下請けをしていて、しかも役所の中に構造チェックできる人がいなくて評定プログラムを使用すればOKということになっている。
→プログラムの普及で構造を考えずに自動的に計算する事務所も増えている。人日で計算すると昔よりかなり安くなっているので、どこの設計事務所も苦しい。これでは良い構造を考える事務所が少なくなってしまう。本当は構造が建築全体のデザインに占める割合は大きい。
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